米国の著名な音楽プロデューサー・フィル・ラモー
ン氏が3月30日ニューヨークでお亡くなりになった。
(以下敬称略)
79歳だった。
ラモーンといえば、70年代以降のポップス黄金時
代に大ヒットを連発した名プロデューサーである。
「ヒット曲、ヒットアルバムと言えばフィル・ラモーン・
プロデュース作品」という時代が確かにあった。
普通ロック、ポップスの場合、プロデューサーの名
前が話題に取り上げられることは殆どない。
だが、フィルラモーンは例外的存在だった。
雑誌やラジオでは、「この作品はフィル・ラモーンの
手によるものです」と紹介された。
こうしたプロデューサーは、他にはジョージ・マーテ
ィンかクインシー・ジョーンズぐらいしかいない。
ラモーンは特別な存在だったのだ。
ラモーンはポール・マッカートニーとローリング・スト
ーンズ両方のアルバムのプロデュースを手がけている。
このライバル同士の超大物二組のプロデュースをし
たのはラモーンただ一人であろう。
ラモーンはグラミー賞に33回ノミネートされ13回受賞
している。
33回とは、グラミー賞のほぼ常連である。
そして13回の受賞回数は突出している。
その第一回目の受賞作品は意外な作品である。
スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトの”ゲッツ/ジル
ベルト”だったのだ。
ラモーンはあのボサノバの大ヒット作の録音エンジニ
アとしてグラミー賞を受賞したのである。
キャリアの最初期においていきなりの大ヒット作に恵
まれグラミー賞まで取ってしまったということである。
この時ラモーンは30歳である。
確かにあの”ゲッツ/ジルベルト”は今でも十分聞ける
良い音である。
ラモーンは音楽と録音技術に精通し、ミュージシャン
のやる気を鼓舞することにかけては業界ナンバーワンと
いわれてきた。
そして十分過ぎる業績を残してこの世を後にした。