不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

ミスター・ビーン、ロンドン・オリンピックに現る。

 ロンドン・オリンピックが始まった。
 私はスポーツに関しては、完全な”言うだけ番長
(言うだけで出来ない、やらないで威張っている人を
意味する・マンガの”夕焼け番長”をパロディ化した表
現)である。
 何しろ鈍くてスポーツがからきし駄目なのである。
 結果として私は文化系になり今日に至っている。
 スポーツに関しては見るだけで、世間の話題にかろ
うじて相槌がうてる程度の知識しかない。
 昨日は、開会式が行われた。
 オリンピックの開会式は私はいつも楽しみにしてい
る。
 というのも、オリンピックの開会式はスポーツの式典
でありながら、見事に文化会系の催し物だからである。
 これなた文化会系の私にもピッタリである。
 私は事前に今回の開会式の様子を想像していた。
 ポール・マッカートニーが出て”ヘイ・ジュード”を歌う
という情報は知っていた。
 他は何だろう?
 007ジェームス・ボンドは出るだろうな。
 ボンドはアクションが大きく、こうしたアトラクション向
きだからである。
 その他は?
 私はいろいろ考えてみたが、これ!というものが思い
つかなかった。
 英国出身で世界的に知られたキャラクターは数多い。
 だが、それをどう使うかがわからなかったからである。
 開会式にはメリー・ポピンズが出た。
 なるほど、これなら絵として映える。
 そして私が思いつかなかったスターが登場した。
 なるほど、ミスター・ビーンか!
 ミスター・ビーンは事実上セリフがなく、原語の壁を超
えて世界中で愛されている英国人である。
 今回、ミスター・ビーンは何とロンドン・シンフォニー・
オーケストラの団員である。
 担当楽器はキーボードである。
 曲はアカデミー賞受賞の英国映画”炎のランナー”の
メインテーマである。
 この曲自体も大ヒットしている。
 ヴァンゲリス作曲のこの曲では、シンセサイザーの特
徴的な音が延々と続く。
 ミスター・ビーンはその音の担当を任されたようだ。
 それならミスター・ビーンでも出来そうだ。
 指揮者は、サイモン・ラトルである。
 今や現役世界最高峰の指揮者の一人でありベルリン・
フィルのボスである。
 そのラトルが映画音楽のテーマ曲の指揮をするとは、
ちょっと驚きである。
 ラトルがタクトが振ると曲が始まった。
 映画のオリジナルとは異なりオーケストラ様にアレン
ジされた優雅な出だしである。
 神妙に耳を傾ける。
 何しろ世界のラトルが指揮をしているのだ。
 そこでミスター・ビーンの顔が大写しになった。
 場内からは大歓声が巻き起こる。
 あぁ、ミスター・ビーンは本国でも大スターなのだ。
 ここからは、主役はミスター・ビーンになってしまった。
 ミスター・ビーンは指一本でキーボードを叩く。
 だが、少しすると飽きてしまった。
 隣のピアノが派手な和音を弾くと恨めしそうな顔を向け
たりする。
 途中で鼻をかみたくなったり、ポケットからスマートフォ
ンを取り出して見たりと好き勝手である。
 それにしてもミスター・ビーンをオーケストラの団員に
起用するとは、思いも寄らなかった。
 しかも、サーの称号を持つサイモン・ラトルを脇役扱い
にしてしまうのである。
 これは、まずありえないことである。
 クラシック界の大物でも笑いのためには利用する。
 これが喜劇大国の英国のセンスであろう。
 観客を惹きつけ、笑いをとるためには何でもやる。
 クラシック界の大物でも笑いのためには利用する。
 という姿勢が見て取れる。
 曲はめでたく終わり、ミスター・ビーンは大役を果たした。
 面白すぎる。
 英国人おそるべしである。