不二家憩希のブログ

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ポール・マッカートニー、オリンピック開会式の大トリを飾る。

 ロンドン・オリンピックの開会式にポール・マッカー
トニーが出るのではないか、という話は少し前から
ささやかれていた。
 前回の北京オリンピックの閉会式の最終場面に
は、次回の開催国として英国のミュージシャンが
登場した。
 赤い二階建てのお馴染みのロンドンバスの上に
乗って演奏を繰り広げた。
いた。
「北京の閉会式がジミー・ペイジならロンドンの開
会式にはポールになるだろう」
 そう思われていた。
 特に根拠はないが、そうなるのでは?という憶
測であり希望であった。
 そして、ロンドン・オリンピック開会式が始まった。
 ポールほどの大物ならラスト近くの登場になるだ
ろうな、と私は思っていた。
 エンターテインメントの世界でポール以上の大物
などいるとは思えないからだ。
 セレモニーは大詰めに近付いた。
 エリザベス女王が開会宣言を読み上げた。
 それを受けるかのように、聞いたことのあるメロ
ディーが流れてきた。
 ”ジ・エンド”だ。
 この曲は、ビートルズの名盤”アビー・ロードの
最後の曲である。(厳密にはもう一曲あるが)
 美しくも名残惜しく盛り上がる曲でポールの才気
みなぎる作品である。
 ほほぉ、ここで”ジ・エンド”を持ってきたか。
 確かに情景は「ジ・エンド」である。
 バンドは、ポール・マッカートニー・バンドである。
 彼らはここ何年もポールと行動を伴にしてきてい
る。
 どんなコンサート、大イベントでもポールのバック
はこのバンドである。
 ポールほどの大物なら臨時のスーパー・バンドを
簡単に編成できるのにポールはそういうことはしな
い。
 何故か?
 そうする必要がないからであろう。
 このポール・マッカートニー・バンドは、ポールのソ
ロ活動の中でも最高の布陣と言える。
 1970年代の絶頂期のウィングスに匹敵すると思う。
 ”ジ・エンド”が終わると場内アナウンスが入った。
「皆様、ご紹介します。ポール・マッカートニー!」
 おぉ、何とシンプルな。
 しかも、呼び捨てである。
 ポールは、サーである。
 こうした場では、サー○○と呼ばれることを好む人
もいる。
 ポールは「サーなんて要らない。呼び捨てでいい
よ!」というところなのだろう。
 アナウンスに笑顔で答えるポール。
 呼び捨てにされてカッコいい。
 カッコいいとはこういうことである。
 曲は”ヘイ・ジュード”に移っていった。
 ポールは黒でまとめたシックな装いである。
 いつもながらセンスが良い。
 ポールは、そつがない男なのだ。
 ”ヘイ・ジュード”はビートルズの曲の中でも人を励
まし、鼓舞する曲である。
 オリンピックにふさわしいではないか。
 曲の終盤、合唱になる。
 ポールはピアノの前から立ち上がり、両手で指揮
するかのように観衆を煽り立てる。
 さすがに様になっているな。
 あぁ、素晴らしい。
 ポールはきっちりまとめるスマートさがある。
 やはり、私にとって英国最高峰は、この人ポール・
マッカートニーである。