不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

幟の男。

 3月19日の朝、事件は起きた。
 東京メトロ東西線東陽町駅前で男が刃物を振り回
し、通行人を襲い始めた。
 通勤・通学ラッシュで人がごった返す中での凶行で
ある。
 現場はパニックに陥った。
 男は4人に軽傷を負わせ、さらに通行人を追いかけ
た。
 その時、追いかけられていた男性が駅前の商店の
店先にあった幟を手にとった。
 そして、向き直ると男に立ち向かっていった。
 幟の柄で刃物男の頭に突きや打撃を食らわせた。
 応戦の開始である。
 男は「ふざけんじゃねぇ」などと叫びながら攻撃し
てくる。
 男性は幟で抗戦する。
 男がひるんだ隙に通行人の男性や駅員らに取り
押さえられた。
 幟で立ち向かっていったこの男性は、何と勇敢な
人なのだろう。
 これこそ、命懸けの行為である。
 スポーツや政治などで「命懸け」と言う言葉がよく使
れる。
 だが、命が実際に危うくなることはまずない。
 政策が失敗しても次の選挙までは責任を問われ
ることもない。
 落選したとしても命までとられるわけではない。
 スポーツや政治なら勝てば栄誉や富が与えられる。
 この男性は身を捨てて悪に立ち向かっている。
 瞬間の判断で行動しており、そこには何ら打算はな
い。
 英雄とは、こういう人のことを指す言葉である。