部屋着のトレパンのウェストのゴムがゆるい。
そろそろ何とかしないいけないだろう。
ゴムを交換するか、それともトレパンを引退させる
か。
これは以前から考えていたことであるが、(まだい
いな)と今まで先延ばしにしてきた。
家の中でしか穿かないので多少ゆるくても差し支
えがない。
それでも、あまりにゆるくなってしまい、普通に立っ
ていると腰骨から下にずり落ちてしまうようになって
いた。
昔の喜劇やコントのようである。
それなら、もっと早く交換すれば?と思われるだろう。
だが、私がなかなかそうしなかったのには、もう一
つ理由がある。
トレパン自体が、もうかなり古くなってきているので
ある。
普通の人なら、とっくに引退させているだろう。
そんな品にゴムの交換が必要だろうか?
このまま引退の道もあるのでは?
そう考えても当然である。
このトレパンは元は父が穿いていたものなのだ。
それを私が引き継いだのだ。
父が穿いていた時点で、既に数年経っていた。
そしてこの伸びきったゴムも、実は2代目・2本目な
のである。
父が穿いていた頃に一回伸びて交換している。
引退勧告をするか、それともゴムを再度交換して現
役続行させるか。
私は判断を先送りしてきた。
だが、もう決着をつけなければならないだろう。
後任がいないわけではない。
ただ、まだいけるだろう、と思うからこそ穿いている
のである。
どうしようか?
私は決断を迫られていた。
～続く～
