不二家憩希のブログ

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”没後30年 グレン・グールド 秋山和慶さんと聴く”を聴いた。

 NHK-FM”名演奏ライブラリー”は”没後30年 グレ
ン・グールド 秋山和慶さんと聴く”だった。
 グールドはクラシックの大ピアニストである。
 そして、よく知られた変人だった。
 芸術家はその多くが変わった人、世間の人とは違
う、と一般に言われている。
 中には常識がある良識派の人もいるが、やはり数
は少ない。
 そんな芸術家の中でも別格の変人と評されている
のがグールドである。
 この番組では指揮者の秋山和慶氏がゲストだった。(以下敬称略)
 秋山は長年にわたり世界的に活躍している指揮者
である。
 米国の指揮者レオポルド・ストコフスキーに見出さ
れたこともあり米国、カナダでの活躍が多い。
 秋山はカナダでグールドと共演したことがあるそうだ。
 これは初耳である。
 グールドと共演歴があるのは故・朝比奈隆だけだと
思っていた。
 朝比奈は1958年イタリア・ローマでサンタチェチリア・
オーケストラの定期演奏会でグールドと共演している。
 秋山はカナダのテレビ番組の収録でグールドと共
演したそうだ。
 曲目はベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番”皇帝”の
一部分だけとか、その他の曲の一部分だけといったも
のだった。
 秋山によればグールドは一目見ただけで変わった人
だとわかるような人だったそうだ。
 秋山はグールドとの初対面で握手をした。
 だが、グールドは指先をちょっと出しただけのそっけ
ない握手だった。
 秋山は「これは私は嫌われたのかな?」と思ったそう
だが、他の人に尋ねてみるとグールドは誰に対しても
そのような対応をしているとのことだった。
 グールドは消毒用アルコールに浸した脱脂綿が入っ
たステンレス製の小箱を常に持ち歩いていた。
 そして、握手した自分の手をアルコール脱脂綿で、
その人の目の前で丁寧に拭くのだった。
 それを見て秋山は(私の手はそんなに汚いのかな?)
と思ったそうだ。
 グールドはそういうことが平気で出来る人だった。
 グールドは、変わった人の中でもトップクラスの変わ
った人だったのだ。
 しかし、人柄は変わっていても、その音楽は別である。
 番組でかけられたグールドの録音はどれも素晴らし
かった。