私が招かれているその初盆の家で話をしたことが
あるのは、伯母だけである。
それも子供時代のことで○十年も前である。
その後は、冠婚葬祭で会った際に定型文のような
挨拶を交わす程度である。
頭の中でいろいろと状況をシュミレーションを試みる。
親戚なので素性は熟知している。
だが、どんな人達なのかは、わからない。
性格、人柄などが私には殆ど不明である。
データがまるでないからだ。
なんとも不思議な状況である。
これでは脳内シュミレーションもうまくできない。
”知らない人達”に会いに行く、だが、血縁はある。
これは日常的には、滅多にないケースである。
いくら脳味噌をひねっても、うまくいかない。
どうしよう?
私はインターネットでその初盆の地域を検索してみ
た。
人間がわからないのでせめて地域情報でも仕入れ
ておこうと思ったからだ。
そうしているうちに、その町に住んでいる人のブログ
を発見した。
親戚の家は山間の小さな町にある。
そこそこ古い家柄で「○○町で△△家と言えば誰で
も知っている」と言われている。
亡くなった伯父も町の要職をいくつも務めていた。
私は、そのブログに書き込みをしてみることにした。
「長年会っていないそちらの町の親戚にお盆で伺う
のですが、人的不案内でいろいろ迷っています」といっ
たことを書いてみた。
一応伏せ字にしたが、その家の名前も書いておいた。
果たして、これでわかるだろうか?
また、この内容で通じるだろうか?
そして返答はあるのだろうか?
~続く~