不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク~コロンボ以上に変わった男。その⑧

 ピーター・フォークの自伝「刑事コロンボの素顔」は、
文章としてはとても読みやすい。
 だが、内容が断片的で連続性に欠けた構成となっ
ている。
 自伝というより、エピソード集といった方が良いか
もしれない。
 一つの出来事の紹介が終わると次は別の話に移
るのだが、時系列が一定ではない。
 そのため、読んでいて(あれ?これは、何時の話
なのかな?)と戸惑ってしまうことが多い。
 これは、出版社が意図的に、そのように編集して
いるのか?
 それとも、フォークがそう望んだのか?
 自伝とは、そもそもそういうものである。
 自伝が出せるほどの人間はそれなりの力を持っ
ている。
 そうでなければ出版の企画すら持ち上がらないか
らだ。
 当人は、功成り名を遂げた人物で、いまさら自分に
都合の悪いことを世間にさらしたくはないだろうし、
その必要もない。
 削りたい部分は大いに削って、自分が気に入った
部分だけ記していけば良い。
 フォークの自伝には、前の奥さんとの話も載っている。 
 2番目の奥さんについてもその多くが語られている。
 しかし、前の奥さんとの出会いや結婚式については
明かされていても、その後については一切触れられて
いない。
 読者は(前の奥さんはどうなったの?)と思ってしま
うだろう。
 フォークは2番目の奥さんと幸せな晩年を過ごしたよ
うだ。
 となると、最初の奥さんとのことは完全にカットすれ
ば良さそうなものである。
 だが、フォークはそうはしていない。
 このあたりが、フォークの変わった感性であろう。
 フォークは、どうもわからない人なのである。
 
 ~続く~