不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク 刑事コロンボへの日々 その48

 ”殺人処方箋”のレギュラー番組化を希望した
NBCだったが、原作者コンビ・リンク&レビンソンと、
この作品の重要な役で事実上の主役のコロンボ
を演じたピーター・フォークの両方から、良い返事を
貰えなかった。
 と言ってもリンク&レビンソンとフォークも「絶対に
拒否する」というほど断固とした拒絶をしたわけで
はない。
 何しろ相手は全米3大ネットワークのひとつNBC
である。
 リンク&レビンソンも当時は大御所でもなんでもな
い普通の脚本家、フォークも上り調子の人気俳優
とは言え大物とまではいかないクラスである。
 彼らもそんなに大きなことを言える立場ではなか
ったのである。
「出来たらレギュラー化は止めてほしい。気乗りが
しません」といったところだったようだ。
 彼らの意向を聞いたNBCは、あっさりとこのレギュ
ラー化企画を取り下げた。
 原作者と主要配役がそういう気持ちなら、今はこ
れ以上企画を進めてもよい作品は出来ないと考え
たのだろう。
 加えて毎週放送の60分番組にすると、クオリティ
の低下を招きかねないと判断したのかもしれない。
 NBCとしては、違う脚本家、違う俳優を立てて強
引にレギュラー化することも可能だったであろう。
 だが、そうしたことしなかった。
 クリエイターや表現者の個性と才能を尊重する姿
勢があったのである。
 このあたりは、米国文化の優れた点であろう。
 目先の視聴率で動こうとはせず、作品の質を優
先したのであろう。
 国によっては「視聴率が取れそうなうちに早く番
組を作って放送してしまえ!」となりそうなところだが、
そうした安易な方向には動かなかったのである。
 そしてこの決定は、後になって有効だったことになる。
 
  ~続く~