不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク 刑事コロンボへの日々 その⑦

 ピーター・フォークは1961年10月12日、テレビ
ドラマ”アンタッチャブル”に再び出演した。
 フォークが、このドラマに出演するのは60年に
続いて2回目である。
 実在した捜査官・エリオット・ネスの回想録”ア
ンタッチャブル”は、発売当時は実録の書と言う
触れ込みで売られていたのだが、その後研究が
進み、今日ではフィクションであると結論づけられ
ている。
 ネスが自身と自身の組織”アンタッチャブル”の
体裁を繕うために、事実を削除したり捏造した形
跡がいくつもあるのである。
 しかし、そこに記されている状況に近い犯罪は、
実際に行われていたと考えられている。
 フォークが出演したのは”The Troubleshooter
 トラブルシューター(調停者)”という作品だった。
 当時の酒場では、5セントか10セントを賭けるパ
ンチボードというくじが大いに流行していた。
 これはマフィアのシンジケートが胴元の違法賭
博である。
 ネスらアンタッチャブルは、これらの摘発に乗り
出す。
 シンジケートでは、マフィアのボスたちが捜査の
手をかわすために、トラブルシューター(調停者)
を雇うことにした。
 トラブル・シューターのネイト・セルコは、ネスに
近づき賄賂で抱き込もうとする。
 そのために用意されたのは、何と50万ドルであ
る。
 1950年代の50万ドルである。
 これは莫大な金額である。
 日本円で一億8千万円、当時の物価スライドを
考慮すると10億以上の額といえるだろう。
 それほどの額の賄賂を使ってでも見返りがある
のだから、当時のこの違法賭博はかなり蔓延して
いたのであろう。
 フォークが演じたのは、このトラブルシューター・
ネイト・セルコ役だった。
 このいかにもイタリア人風のフォーク=イタリア
系というイメージは既にこの頃から定着していた
ようである。
 フォークは、このドラマで、知的でしかも極めて
残忍な男を演じている。
 監督は、フォークとはお馴染みの名匠スチュアー
ト・ローゼンバーグである。
 フォークの持ち味が十分引き出された作品に仕
上がっている。
 
 
 
 
 
 ~続く~