不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

昼花火の削減。 その➃

 多くの市民からの批判を受けるM町の状況は、
他の町内会にも影響を及ぼすこととなった。
 当地域では3月から5月のゴールデンウィーク
まで、春祭が各町内で順次行われる。
 このまま例年通りのプログラムで開催すれば、
自分の町内のお祭りにも非難が殺到するかもし
れない。
 つつがなく執り行われるだけでも大変なのに、
非難への対応までさせられては堪らない。
 そのため各町内では、行事の検討に入った。
 その結果、殆どの町内では今年のお祭りでの
昼花火の打ち揚げ本数の削減を決定した。
 昼花火は行事の進行を知らせるとともに、祭ら
しさを演出する効果がある。
 だが、そのあまりにも非日常的で爆発的な音
響は、人の神経を過度に刺激する。
 お祭りという高揚感の中でなら、これは効果的
な仕掛けである。
 だが、今は大震災からあまり日がたっておらず、
被害の全貌も未だ判明していない。
 精度の高いアンケートを実施したわけではないが、
市民の意見は通常通り遂行派と自粛派とが拮
抗しているようである。
 そこで、それらの意見の中間をとって、昼花火の
削減ということにしたのである。
 お祭りの象徴でもある花火の削減は、市民に
はそれなりのインパクトがある。
 自粛派の中の強硬な人は、それでもやり過ぎ
だ、という声もある。
 しかし、何から何まで止めてしまうというのも、
これも問題がある。
 町内会は、役員や世話役が「こうしろ!」と強
制力を発揮出来るようには組織されていない。
 揉め事が起こった際には、実に困ってしまうの
だ。
 この昼花火の削減という策は、ぎりぎりの提案
でもあったのだ。
 
 ~続く~