用事で我が家に来られたお隣のKさんと話し
をした。
今年の夏は暑かった、一体いつまで暑いのか、
というのが最初の話題だった。
これだけ暑ければ、触れないわけにはいかない。
ひとしきり暑さをぼやいた後、私は話題を切り替
えた。
当町内の猿出現の件である。
その話をしていると、どうやらKさんは今回の猿騒
動ご存じないようだ。
猿はTSさんの家のベランダからKさんの家の
ベランダに飛び移り、それから我が家のベランダ
に移り、次にNさんのお宅のベランダに跳んだん
ですよ。
「えぇ~、そうなの!?」
Kさんは、驚いてそう言った。
Kさんは本当にご存じなかったらしい。
「うちのベランダにも?はぁ、知らなかったわ、ハハハハ」
Kさんは楽しそうに笑った。
となると、TSさんの奥さんが猿を追い掛け回し
て大騒ぎしたことも知らなかったということになる。
無言で飛び移っていた猿よりも、大声で騒ぎま
くったTSさんの方が余程やかましかったのに、そ
れにも気が付かなかったようだ。
Kさんのお宅は完全防音とかでもない。
外の音も普通に聞こえるはずだが、その時は他
のことをしておられてあの騒ぎは聞こえなかったの
だろか?
「でも、猿が道を歩いていたら怖いね」
Kさんはそう言った。
だが、仮にそんなことになったらTSさんがまた大
騒ぎして、そちらの方がやかましいだろう。
そういった後、Kさんはこう言った。
「でも、猿よりもっと怖いものがあるよね」
それは、一体何だ?
~つづく~