不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

見られていない空。

 私がUFOを目撃した時、一緒に見た人はい
なかった。
 周囲にひと気が無かったわけではない。
 そこは市内を走る幹線道路から100メート
ルほど入ったところである。
 賑やかとは言えないが普通に商店のある
通りで、それらの建物の中には人はおられた
と思う。
 通りにはクルマも沢山走っていた。
 当地はそれなりに人口のある市なので、走
行しているクルマの量も多い。
 だが、道を歩いている人はいなかった。
 つまりそこには空を見上げているような人間
は私以外にはいなかったのだ。
 空を見上げるような人は、そもそも少数派の
ようである。
 かく言う私だって年中空を見上げているわけ
ではない。
 その日は、豪雨続きの一週間から久しぶりに
晴れたので「良い天気だなぁ」と思って見ていた
だけなのだ。
 そういえば、道を歩いている人でも空を見上げ
て歩いている人になど会ったことは無い。
 立ち止まって見上げている人にも会ったことは
無い。
 空は意外に見られていない。
 注目度が低いのだ。
 仮にUFOが頻繁に飛んでいても、誰も気がつか
ないのではなかろうか?
 空は広いし、きっと誰かが見ているだろう、と思
われるかもしれない。
 だが、実はそうでもないと思う。
 空は案外穴場なのである。