不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

マッサージチェアを運び出す。その⑤

 我が家のマッサージチェアは休暇中であっ
た。
 家族の誰も使わなくなってしまっていたか
らである。
 そのマッサージチェアに転機がやって来た。
 市内に住む親戚のMが我が家にこう持ちか
けたのだ。
「うちのぶら下がり健康器とあなたの家のマ
ッサージチェアを交換しないか?」
 この時伯父は方言交じりでもっとくだけた感
じで話したのだが、ここでは当ブログの掲載
方針に従い標準語に直して記している。
 そう言われた父は快諾した。
 その当時、日本中でぶら下がり健康器が大
ブームになっていた。
 新しい物好きの伯父Mは、すぐにそれに飛
びついたのだった。
 だが、こちらのぶら下がり健康器もすぐに飽
きが来る代物だった。
 当時のぶら下がり健康器の触れ込みは、ぶ
ら下がることにより背筋が伸び健康に好影響
を与える、というものだった。
 しかし、何度かぶら下がり健康器を試してわ
かることなのだが、ぶら下がって伸びるのは肩
の周辺の筋肉ぐらいなのだ。
 しかもぶら下がっても腕が疲れるだけで健康
になったという実感が得られない。
 日本中でそう思った方が多かったのか、ぶら
下がり健康器のブームは1年ほどで終息した。
 伯父のMは、ブームが終わりそうな頃に父に
マッサージチェアとの交換を申し出たのだった。
 こうして、マッサージチェアはM宅へと引っ越し
て行ったのだった。
 代わりに我が家にはぶら下がり健康器がやっ
て来た。
 そしてこのぶら下がり健康器も歓迎されるは最
初のうちだけだった。
 
 ~続く~