不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

「必殺」とそれを掴んだ藤田まことさん。

 藤田まことさんの代表作の一つに人気時代
劇「必殺」シリーズがある。
 その主人公、中村主水役は、当初は藤田さ
んを想定しなかったそうだ。
 このことに関しては、公式な発表ではない
が、ある興味深いエピソードが残されている。
 製作スタッフは、最初は別の俳優に出演を
依頼に行ったのだが「役の設定がカッコ悪い」
「作品の質に信頼が置けない」という理由で
断られていたそうだ。
 中村主水は無名の一同心で、勤め先の上司
からは疎んじられ、妻や義理の母からも軽く
見られている存在である。
 しかも、裏の顔は暗殺者である。
 これでは、依頼された俳優が断るのも無理
は無い。
 加えて当時のテレビ時代劇は、古今の人気
小説家の原作を基にして製作されるのが普通
だった。
 活字の映像化という点に作品の権威を求め
ていた時代なのであった。
 こうした状況の中、「必殺」シリーズは、
特定の原作を持っていなかった。
 これは極めて異例なことである。
 スタッフは他の俳優にも当たってみるが、
やはり断られた。
 困ったスタッフは、当時体の空いていた藤
田さんに話を持っていったそうだ。
 藤田さんはこの誘いに乗った。
 そして藤田さん主演の「必殺」シリーズは
大人気を博していくことになる。
 今から思うと、断った俳優は勿体無いこと
をした、思われるかもしれない。
 それは今だからそう思うのであって、当時
の判断としては妥当なものだったと思う。
 だが、こうした話は他にもいくつもある。
 明日は、その作品について書いていくこと
にする。