不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

「吉田VS石井」を観て。

 私の年末年始の楽しみと言えば、テレビを
観ることである。
 何だ、地味だな、と思われるかもしれない。
 だが、それが私の子供の頃からの習慣なの
で仕方が無い。
 この時期は民放もNHKも特別編成で、放送
される内容も通常とは違っている。
 私がこの10年ほどで最も楽しみにしてい
るのは、やはり大晦日総合格闘技の中継で
ある。
 年が明けてから大晦日のことを話題すると、
何か大変な昔のことを取り上げているかのよ
うに感じてしまう。
 しかし実際にはまだ一昨日のことなのだ。
 2009年の目玉は、「吉田VS石井」と魔
裂斗の引退試合と言われていた。
 私は魔裂斗には、あまり興味が無い。
 強いのは十分認めるが、それ以上にひきつ
けるものが感じられなかったのだ。
 私の一番観たかったのは、「吉田VS石井」
である。
 あれだけ大口を叩いていた石井選手が一体
どれだけやれるのだろうか。
 石井選手は、総合格闘技のファンの間では
人気があまり無い。
 大口と不遜な態度が大きくマイナスになっ
ているものと思われる。
 総合格闘技のファンは意外に真面目で、長
幼の序といった世のけじめを守らないような
選手には冷たいのだ。
 戦前の評価では、若い石井選手の圧勝では?
というものが多かった。
 二人の17歳の年齢差を見れば、石井選手
の方がどう見ても勝ちそうだった。
 それに、吉田選手は今は全盛期を過ぎてい
ることは、総合格闘技ファンなら誰でも感じ
ていることである。
 下り坂も大分下りきっており、引退が発表
されても不思議ではない状況だった。

 しかし試合はやってみないとわからないも
のである。
 試合は吉田選手が終始リードし、危なげな
い展開だった。
 吉田選手のフックも何発も当たり、石井選
手は両手をマットにつけるほどよろめいた。
 逆に石井選手のパンチは殆ど当たらなかっ
た。
 
 今回、石井選手は、試合前までに大口を叩
いていた。
 自分が負けたら自殺する、とまで言ってい
た。
 こうした戦前の発言は、煽りと呼ばれ、試
合を盛り上げるためには歓迎されるものであ
る。
 しかし、石井選手は自らの発言を裏付ける
ような動きを見せることも出来ずに負けてし
まった。
 私は石井選手のファンでもないし、今回も
応援していたわけでもない。
 だが、あまりにも不甲斐ない戦いっぷりに
力が抜けてしまった。
 私は消化不良な気持ちでテレビのチャンネ
ルをNHKに変えた。