町内会の役員会に出た。その④

　Ｍ１がリアルタイムで観られないとは、私
にとって残念この上の無いことだった。
　加えてこの日は折からの寒波の襲来により、
当地も冷え込んでいた。
　役員会の開始時刻は夜７時である。
　この時間になれば日も落ち気温も下がる。
　私は正直なところ、この寒い中を役員会に
行きたくはなかった。
　家でＭ１を観ていたかった。
　ズル休みは出来ないかな？
　一人くらいいなくても良いのでは？と思っ
たりもする。
　悪い考えが頭をよぎる。
　言い訳をちょっと考えてみる。
「Ｍ１観たいので休ませてください」とは言
えないしなぁ。
　だが、私が何を考えようとも実際には欠席
は出来ない。
　役員会出席は、役員にとって逃れられない
義務なのだ。
　仮に忘れたふりをしてズル休みをしようと
しても、そんなことは通用しない。
　定刻になると、区長さんが皆の見ている前
で携帯電話で未だ来ていない出席者の家に電
話を入れるのである。
　静まり返った会場に、出席を促す電話の話
し声が響く。
　その電話の口調は乱暴なものではないが、
欠席を許さない一定の厳しさがある。
　いい大人が公衆の面前で叱責寸前の電話を
入れられているのだ。
　そのため、この電話での出席の督促は結構
効く。
　私も、あれだけはやられたくないな、と思
っている。
　となると、役員会には渋々ながら出かける
ことになる。

　～続く～