不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

通りを離れた別世界。

 隣の市のある店に行った後、自宅へ帰ろう
と自転車を走らせていた。
 そのあたりはいつも通る幹線通りから、ほ
んの400㍍ほど離れているだけである。
 それだけの距離しか離れていないのに、見
える風景も新鮮である。
 少し走ると区画整理を免れた古い路地に行
き着いた。
 道が狭い。
 この道幅ではクルマがギリギリ一台通れる
かどうかである。
 その道も直線の部分が短く、十字路もない。
 少し行くと道が家に突き当たり、そこから
どちらかの方向に曲がっているのだ。
 まず、家があり、その後に道が出来た、と
いう様子である。
 江戸時代から区画が変っていないようだ。
 そこに立っている家も古くからの農家とい
う構えの家ばかりで、広い庭の奥に住まいが
ある。
 クルマの音も聞こえない。
 静かな世界である。
 竹やぶの横に小さな木製の棚がある。
 見るとそこには黒いペンキの字で何か書い
てある。
無人販売 一袋50円」
 棚には袋に入れられたジャガイモや束ねら
れたネギなどが並んでいる。
 無人販売に出会うのは久しぶりである。
 無人販売所とあれば買いたくなるのだが、
今回は他に寄る場所もあり残念ながら見送る
ことにした。
 そこから、数百メートル走ると、いつもの
幹線道路に出た。
 その通りには世界の先端を行く企業の営業
所がいくつも並んでいる。
 少しタイムスリップしたようだった。