不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

敬老会の出欠でもめる。その⑤

 Sさんの言葉には明らかに敵意が混じって
いた。
「私、敬老会の件で市役所に言ってやろうと
思っているの」
 え~?市役所に言う?訴えるってことか。
 元はと言えばこの件ではSさんに問題があ
る。
 Sさんが転居、転入における連絡、挨拶に
不手際があったからである。
 それに市役所に言ってどうなるというのか。
 Sさんは続けた。
「区長さんに言いに行ったら『招待状が無か
ったのは名簿に載っていなかったから』と言
われた」と、その口調は区長さんを責めてい
る。
 だが、区長さんが言うことはもっともであ
る。
 敬老会は町内の老人会から町内会へ名簿の
提出があり、その名簿を基にして行われるも
のである。
 町内会は主催者側の一つではあるが、誰を
招待するかまでは細かくは把握してはいない
のだ。
 Sさんは殆ど逆切れ状態にあるようだった。
 市役所に訴える。
 しかも区長と民生委員を槍玉にしている。
 市役所に両者を叱ってもらおうとしている
のだろか?

 私はこのような時は、ドライに対処するこ
とにしている。
 非人情な気もするが、仕方が無い。
 それに、ここは若造の私が出る幕ではない
だろう。

 私は尋ねられたことに答えるだけにとどめ
ていた。
 Sさんは最後にこう言った。
「80歳以上の人には記念品がもらえるから
ね」
 80歳以上?
 Sさんは80過ぎなのか。
 呆れる。

 このやり取りがあったのが、今から1週間
ほど前のことである。
 今度もSさんからは何の連絡も無い。