不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

大きな虹を見た。

 用事が済んだ。
 帰りも電車である。
 地下からホームへの階段を上がると列車が
丁度着いたところであった。
 私はその列車に飛び乗った。
 その日は行きも飛び乗り、帰りも飛び乗り
である。
 発車して少しすると雨が降ってきた。
 さっきまでは晴天だったのに油断が出来な
い天候だ。
 その進行方向の左側だけで降っていて、右
側は日が照っている。
狐の嫁入りだね」と小さな男の子がお母さ
んに話しかけている声が聞こえる。
 それから数分後、列車の左側に虹が出てい
るのが見えた。
 その虹は初めは左半分だけの滑り台のよう
な形だったが、次第に右側も姿を現し始め、
完全なアーチ状になった。
 私はこれだけの大きな虹を見るのは初めて
である。
 それから、また数分経つと、その虹の左外
側にもう一つ虹がかかった。
 こちらの虹はアーチではなく、滑り台のま
まだった。 
 それでも部分的には二重の虹である。
 私は二重の虹を見るのも初めてだった。
 その後、その虹は30分以上もかかったまま
だった。
 これは列車の左が雨で右が晴れという状況
が長く続いたためであろう。
 多くの乗客がその虹を眺めていた。
 その虹は、列車がゆっくりと大きくカーブ
を切ると消えてしまった。
 私は何か現実に引き戻されたような気がし
た。