不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

歯医者が苦手な二つの理由。その①

 私は歯医者が苦手である。
 正確には歯医者での治療に伴う事柄が苦手
なのであって、歯科医師自体が苦手なのでは
ないことは言うまでもない。
 歯医者の何が嫌かというと、それは主に二
つある。
 ひとつは、治療において何をされるか、よ
くわからないまま治療が進行していくという
ことがある。
 実際には「はい、今日は○○をしますね」
と予め歯医者側から申告されるのだが、そう
言われても、こちらは歯の治療については素
人なので、口頭で言われてもよく分からない
のだ。
「いや~、そこの点がよく分からないので、
図に描いて説明してください」とか言えば良
いのかもしれないのだが、なかなかそうも言
えない。口に脱脂綿を詰められたまま小さな
声で「はい」と言ってしまう。
 言われたら言われっぱなし、などというこ
とは普段の私では考えられないことなのだが、
歯医者では私は大人しくなってしまうのだ。
 普段の私の人格はどこへ行ってしまうのだ
ろうか。嫌になってしまう。

 歯医者の場合、治療と言ってもそれは実質
的には手術である。
 あの椅子は手術台なのである。
 私は椅子に座って、口を開ける。
 何と無防備な態勢なのであろうか。
 日常生活で、人がこれほど無防備になるこ
とはない。
 この時、毒物でも放り込まれたら、一巻の
終わりである。
 歯がガリガリと音を立てて削れられていく。
「え~、そんなに削って大丈夫?」というほ
ど削られていくような気がする。
 歯が削られるのは自業自得なのだろうが、
とても勿体無いことをされているような気分
になる。
 私の大事な歯をそんなに削って、と思って
いうちにその日の治療は終わる。
 この間、私は実に無抵抗な状態のままであ
る。
 指示されるがままに口を開け、口をゆすぎ
という行為を繰り返すだけである。
 自発性のかけらもないのだ。
 私にとっては実に苦痛に満ちたことなので
ある。

 これが私が歯医者が苦手な理由の一つ目で
ある。
 残りのもう一つは、ちょっと呆れられるよ
うな理由なのだが、私にとっては気になるこ
となのである。

 ~明日に続く~