不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

田植え始まる。

 いつもの田圃地帯を通り抜ける。
 田植えの準備も着々と進んでいるようだ。
 田圃には誰もいない。
 私が通りかかる時間帯には、農家の方も一仕事を終え
て、ご自宅で一服されているのだろうか。
 田圃の四隅のうちの一角には、農業用水を噴出させる
銀色のコック?があって、今日はそこから水がシューシ
ューと流れている。
 何かシステマチックな感じである。農業の進歩を感じ
る。

 乾いた田圃の土と水が交じり合うにおいがする。
 このにおいは、他の場所にはないものだ。
 自然と人工が溶け合ったにおいである。
 自然と人工の融合。
 自然だけでは野蛮だし、人工だけでは暴力的になりや
すい。このバランスは難しい。
 だが、うまく均衡が取れれば、最高に美しい世界が展
開される。
 
 ゆっくりと、水が田圃にしみこんでいく。
 水はかなり大量に流れているのだが、なかなか広がら
ないようだ。田圃の土は、普通の土とは異なる手入れが
なされているのだろう。どういう配分になっているのか。
粘土分が何パーセントで他が何パーセントで、とかある
のだろう。
 素人の私が見ると、ただの土にしか見えないのだが、
いろいろな工夫や伝承があるに違いない。

 数区画行くと、他とは色の違う田圃が見える。
 その田圃は、もう田植えを済ませてあるではないか!
 田植えは、したばっかりに見える。
 今朝早くにしたのだろうか。
 
 その田圃は水で覆われており、文字通りの水田である。
 苗はきっちりと、破線の升目のように植えられている。

 この田圃だけ早いというのは、どういうことなのか。
 大きな意味があるのではないのかもしれない。
 オーナーの予定でたまたまそうなっただけなのかもし
れない。
 横一線の美学というのは、近代農業でも流行らないの
かもしれない。

 田植えが本格化するとなると、季節は初夏である。
 この時期、季節は暦ではなく、土の香りが知らせてく
れる。