この熊野神社は当町内連合会一帯を支配するお殿様が
深く信仰していた。
後にこのお殿様は、ある有力藩の大名にまで出世した。
小さな町のお殿様から藩大名にまで出世したのである。
大出世である。
その大名家は幕末まで善政を布いた。
この神社には、大名である子孫が一対の灯篭を寄進して
おり、今日でも見ることができる。
境内にはその子孫の大名が植樹した木もある。
江戸時代に植えられたその木は今や大樹となっている。
この神社は出世のご利益があると言えよう。
「出世のご利益がある!」と言って告知すれば参拝者も増
えるであろう。
だが、地元ではそうした企画を打ち出そうという思惑は無
いようだ。
もったいない。
特に話題にならず、周囲に道もないためか、地域住民に
すら知られていない。
参拝者は少ないようだ。
境内には枯れ葉が積もっている。
掃除がされていないわけではないが、行き届いてもいな
いといった様子である。
汚くはない。
しかし、さっぱりとした神社らしさは殆ど無い。
駐在している人はおらず無人である。
~続く~