不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

班での通夜参列。その②

 葬儀会場は、いつものところであった。
 当町内で行われる通夜・告別式では、この会場が多い。
 もしくは、もう一つの業者の会場のいずれかである。
 「町内の人からの参列を考慮すると距離的に近い方が
良い」と皆が考えているからである。
 「遠くまで来させては申し訳ない」のである。
 これは、話題に上がると皆がそう言っている。
 選択の基準が業者の質の良しあしではなく、近いか遠
いかである。
 親戚、知人の都合よりもまず町内の人の便宜を優先し
ているのだ。
 例外はS学会の信者の家の場合で、業者・会場が異な
り、こちらは町内からは少し距離がある。
 この日は、Nさんがクルマに同乗させてくれることになっ
ている。
 私は本当はクルマの定員からあぶれ乗せてはもらえな
い予定だったが、夫婦で参列される方が旦那さんだけに
なり、一席空いたのだった。
 ちなみに、告別式には満員となる予定で、私は自分の足
で行くことになる。
 開式1時間前に到着ということで、5時前には皆さんが
Nさん宅の前に集まった。
 Nさんのクルマに乗せてもらうのはこれが初めてである。
 満席となり出発する。
 車中では早速おしゃべりが始まる。
 嫁に行った娘さんは今どこに住んでいる?、とかお孫さ
んはいくつになったのか?そうした話題である。
 他愛もないことではあるが、聞いても仕方のないような
事柄ばかりである。
 それを尋ねられれば、細かく説明する。
 社内は明るい感じである。
 これから通夜に行くのに、空気としては正反対である。
 皆少しハイになっているようだ。
 ハイになるとは、躁状態の一種を指す。
 通夜・葬儀では心理的にハイになりやすい、と心理学
者は指摘している。
 ここでもそれは実証されているのだった。

 ~続く~