不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

班での弔問。その③

 奥さんと長男の話は、続く。
 それと同時に参加者が順番に線香をあげる流れとな
った。
 最初にNさんが線香に火をつけた時のことである。
 「え~と、もう手を合わせていいの?」
 Nさんが問う。
 「えっ?何?どういうこと」
 「まだお坊さんが来てお経を読んでいないので、まだ
仏様になっていないので、手を合わせちゃ駄目だ、って
聞いてことがあるのよ」
 へぇ~、そんなこと言う人がいるのか。
 そういう宗派なのか、単にそういうことを言う人がいる
ということか?
 言ったNさんも確証があって行っているわけではない。
 ただ以前にそう言われたことがある、ということである。
 だが特に議論となることもなかった。
 「そんなの気にせず手を合わせていいさ」という結論と
なった。
 こうした場で宗教論を言い立てる人は、当班にはいない。
 まぁ普通の常識の線でいきましょう、という空気である。
 偏屈な宗教論を言い出す人がいたら、私が退治してや
るところだが、そんな出番は無かった。
 それにしても故人を前にして手を合わせて良い、悪い
とか言う人がいるというのは初耳だっだ。
 Nさんが聞いたという話なら、この地域かその周辺とい
うことになるであろう。
 否、ひょっとしたら全国的に伝搬している考え方なのか
もしれない。
 世の中、いろいろな考え方の人がいる。
 それはそれでOKなのだが、それを押し付けるとなると
話は別である。
 狂信者の一種である。
 幸いにも、当班にはそうした愚か者はいない。

 ~続く~