あれは、セミの声だな。
それからすぐ「バサッ」と音がした。
セミが庭に面した窓の網戸に停まったのだ。
おぉ、こんな近くにまで来るのか。
これで鳴いたら面白いな。
そう思っていたら、本当に鳴き始めた。
リクエストに答えてくれたということか。
「ミーン、ミ~~ン」
大音響である。
数㎝の体からあれだけの音が出るのだ。
これは驚異的である。
人工では再現不可能だろう。
種類は何だろう。
アブラゼミではなさそうだ。
羽根が透明である。
鳴きながら網戸を移動している。
動きながら鳴くのか。
器用なものだ。
しばらく鳴いた後、セミは飛んで行ってしまった。
夏には珍しくもないセミではあるが、あれほど近
くで鳴くのを聞いたのは久しぶりである。
また、いつでも飛んできて鳴いてください。
お待ちいたしております。