お隣の玄関先から声が聞こえてきた。
今年度の町内の班長さんのTAさんの声だ。
「こちらが今度越してこられるKNさんです」
おぉ、引っ越しの挨拶に廻っておられるのか?
だが新居はガス管の埋没工事が終わったばかりで
まだ、無人のようだったと思う。
荷物の搬入もしていないだろう。
お盆休みで時間が出来たので、早めに挨拶をして
おられるのだろうか。
次はわが家に来られるな。
私は急いでシャツとズボンを取りにいった。
この日も朝から30℃超えの暑さだった。
私は原始人のような格好だった。
初対面でそれでは極めて失礼である。
私は慌ててシャツを着て、ズボンを穿いた。
これで少しはまともな文明人に見えるだろうか?
そうして待ち構えていると、一行が来られた。
KNさんご夫妻は若い夫婦だった。
やせ型で日に焼けたご主人と小柄な奥さんである。
お子さんを二人連れている。
3歳くらいの男の子が不安そうな顔でこちらを見てい
る。
もう一人は赤ちゃんでまだ生後数ヶ月だろう。
お母さんに抱かれて眠っている。
私は型通りの挨拶をした。
何か気の利いたことを言えば良かったのかもしれない
が、特に何も言えなかった。
暑くていつも以上に頭が回らなかったのだろう。
KNさんからは○○堂のお菓子を頂いた。
引っ越しの挨拶の品である。
私は有り難く頂いた。
そしてTAさんはNさんを連れて、次のお宅に行かれる
ために辞去された。
もう一つのお隣のKさんは、この時はお留守だったらし
い。
TAさんが先導して説明と紹介をして回っているのか。
SAさんが越してこられた時の班長さんは、そのような
ことはしなかった。
これはTAさんが率先して、やっておられるのだろう。
新しい不案内な新参者さんには嬉しい親切と思われる。
それにしても良さそうな人が越して来られて結構なこと
である。
町内会行事にも協力的な感じである。
是非良い日々を当町内でお過ごし頂きたい。