大風が吹いた翌日の朝、庭を見ると何か落ちてい
るのに気がついた。
グレーの布のようなものである。
大風でどこかからか飛ばされてきたのだろう。
摘み上げて見てみる。
それは合成繊維でできた箱型の布である。
幅60~70㎝ほどである。
布と言ってもビニールに近い質感がある。
これは一体何だろうか?
メーカー名かブランド名が記されていないか、見て
みる。
何も無い。
タグも無い。
マークも無い。
エアコンの室外機用のカバーか?
ちょっと違うようだ。
何なのだろうか?
まだ新しいもののようだ。
さて、これをどうしようか?
わが家の庭への無断侵入の罪でゴミと見なし廃棄
処分にしようか?
否、それはちょっと非情すぎる。
それに元々の持ち主がこれを探しているかもしれな
い。
私はそれを道沿い庭の端に置くことにした。
道と庭の中間線上である。
さも「ここに舞落ちました」というようにふんわりと置い
た。
こうすれば探し歩いてきた人が「あぁ、ここにあったの
か」と見つけることができるだろう。
それにここなら、私に声をかけずに黙って持って行くこ
とができる。
庭の中に置いておくと(一声かけていった方が良いか
も?)といった余計な気をつかわなければならないかも
しれないからだ。
その翌朝である今朝になってみてみると、そのグレー
の布は無くなっていた。
その持ち主が見つけて持っていたのだろうか。
それにしても一体あれは何だったのだろうか?