この時期夕方5時半は真っ暗である。
歩いていると前方に黒い人影が見える。
喪服を着た女性のようだ。
TEさんのお通夜に行かれる方だろう。
進むに連れ喪服の人が増えてくる。
同じ町内の方なのだろうが、皆さん同じ格好なの
でどなただかさっぱりわからない。
もっとも私の場合、普段でも知っている人が限ら
れている。
同じ班の人は分かるが、それ以外だと同じ町内
会の人でも知らない。
従って喪服のせいにしてはいけないのかもしれな
い。
TEさんのお宅が見えてきた。
家の前にはスタンドが設置され明かりが灯されて
いる。
このスタンドを一般家屋の前で見るのは実に久し
ぶりである。
私が見た直近はもう7年くらい前である。
あまりに久しぶりだったのでじろじろ見てしまった。
昔は当たり前だった風景が消え去っていく。
それは記憶の中だけに存在していく。
悲しさと寂しさの記憶の中にはっきりと残っていく。
~続く~