駅から親戚の家まではクルマで40分ほどの距離
がある。
私はバスを待ち、そして乗り込んだ。
曲がりくねり、起伏の激しい道を走っていく。
途中、山の崩落防止の工事が何カ所もで行われ
ている。
上り坂がしばらく続いた後、少し開けた風景となる。
もうすぐ到着である。
親戚の家は山間の小さな高原にある。
町の中心を南北に伸びる国道の他は、この町へ
入る道は無い。
見渡すと町というよりも”村”という感じであるが、行
政上は間違いなく町である。
ここは面積が広い郡部で山間に点々といくつもの
集落がある。
それらの集落が集まって町となっている。
それぞれの集落に行くには山をいくつか超えなけれ
ばならず、集落には町役場の出張所がある。
集落だけで機能しており、一種の遮断された環境
にある。
そのため文化的にも独自性があり、他には無いこの
地域特有の伝統が残っている。
残している。
バス停から目指す親戚の家までは、すぐ近くである。
町の唯一の目抜き通りの端近くに親戚の家はある。
玄関先には初盆であることを示す提灯がぶら下がっ
ているのが見えた。
ようやく着いた。
雨は既に止み青空が広がっていた。
~続く~