ピーター・フォークは、過去の活動によりCIAから
シャットアウトされてしまった。
だが、これでへこたれないのがフォークである。
フォークは、この後、米国政府予算管理局に就職
しているのである。
同じ国の機関でありながら、CIAには断られたの
に予算管理局ならOKなのか。
予算管理局の身元チェックはいい加減なものだっ
たのか。
もっとも、フォークの共産党員としての活動は大し
たものではなかったのかもしれない。
調べればすぐに名前があがるような大物党員であ
ったなら、予算管理局でもチェックできたであろう。
フォークが20代の1950年代に米国人で共産党員
であるということは、=超危険人物を意味する。
当時の米国人なら、仮に内心で社会主義にシンパ
シーを持っていたとしても、共産党員になろうとまで
は考えないのが普通である。
それを実行に移してしまったのであるから、フォー
クも大胆不敵というか、怖いもの知らずである。
あるいは、世間知らずと言っても良いかもしれない。
そうした過去が判明してしまっていたら、予算管理
局にも入れていなかったものと思われる。
おそらくフォークは20代のほんの数年間だけ、共産
党に入っていただけなのでは、と私は推測している。
また、CIAや予算管理局に入ろうとした頃には、す
でに共産党から転向していたものと思われる。
いくらちょっと鈍いところもあるフォークであっても、
「これはまずいな」と気がついたのであろう。
フォークにとっての共産党員時代は、「若き日の過
ちの一つ」くらいのものだったのだろう。
まぁ、過ぎてしまったことだから、ということなのだ
ろう。
葉巻のインタビューで、つい告白したのも嫌な思い
出が絡んでいなかったからではないかと思われる。
否、案外良い思い出だったのかもしれない。
~続く~