不二家憩希のブログ

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P・フォーク~コロンボ警部を生み出す。その④

 ”刑事コロンボ”は、オリジナル脚本の作品であ
る。
 このことが、作品が持つ可能性を大いに引き出
した要因と考えられる。
 当ブログで昨日まで記してきた他のケースだっ
たらどうなっていただろうか?
 まずは、ノンフィクション、実話を素材としたドラ
マの場合である。
 ”刑事コロンボ”に近い題材の作品としては、テ
レビドラマだとアル・カポネを追い詰めたエリオット・
ネス率いるアメリ財務省捜査官の活躍を描いた
アンタッチャブル”映画では1972年8月22日にニ
ューヨーク・ブルックリンで起きた銀行強盗の一部
始終を追った”狼たちの午後”といった作品がある。
 これらの作品では、実在の人物・実際に起きた
事件が元になっており、そのため表現が制約され
やすい。
 無論、ドラマなので事実とは多少異なる表現をし
ても許されるだろう。
 だが、それを頻繁に行ってしまうと「あっ、ここが
事実とは違うなぁ」といった声が出てしまう。
 少しだったら見逃してもらえるかもしれないが、
ファンの目は想像以上に厳しい。
 ”アンタッチャブル”の場合は、あまりに多くの場
面を過剰に脚色してしまったため、「原作は駄目、
ドラマは、もっと駄目」という評価が定着してしまっ
ている。
 事実を誇張・歪曲してしまうと、嘘くささが増して
しまい、ドラマの世界に入り込めなくなってしまうの
である。
 そのため、”アンタッチャブル”は今でも一定以上
の人気はあるものの、正当な評価を下そうというの
機運がみられないのである。
刑事コロンボ”が、実在の刑事を素材としたドラマ
だったら、あれほどまで大ヒットしたであろうか。
「この方が、コロンボ警部のモデルの方です!」と
か言って紹介されたら、ファンの熱は一気に冷めた
のではなかろか。
 
 ~続く~