不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク氏ご逝去に寄せて その⑨

 クロスビーとコッブの次にようやくピーター・
フォークの登場ということになる。
 だが、クロスビーとコッブの他に候補の俳優
がいなかったとは言い切れない。
 ひょっとしたら、あと数人は候補がいたかもし
れない。
 こうしたキャスティングは、実にデリケートなこ
となので関係者はあまり口外しないものである。
 フォークの前にクロスビーとコッブの二人が候
補に上がっていた、と言う事実も、かなり後にな
ってから明かされたエピソードである。
 クロスビーとコッブは、コロンボに関わらなくとも
十分に大きな実績を残した人たちなので、公表さ
れたのだろう。
 そんなクロスビーですら、本当は「かっこ悪過ぎ
るから嫌だ」と断ったのに後に「スケジュールが合
わない」と断りの理由が書き換えられたりしている。
 ショービジネスの世界では、体裁を繕うことも大事
だし、物欲しそうにしてもいけない。
 なかなか辛い世界なのである。
 これが一流であってもクロスビーほどの大物では
ない普通の俳優だったら、コロンボ役を逸したという
ことはトラウマになりかねないショックな出来事にな
るかもしれない。
「もし、あの時コロンボ役に起用されていたとしたら
彼の俳優人生は大きく変わっていたであろう」という
ような俳優の場合は、候補になっていたとしてもそ
の事実は封印されてしまうことだろう。
 人は、映画やドラマの中に人生を観て心を動かさ
れるものである。
 だが、そのバックステージでこそ、本当のドラマが
繰り広げられているのだと思う。
 そうした真のドラマは、人に語られることも無く世に
出ることもない。
 これは映画などのエンターテインメント業界だけに
限ったことではないだろう。
 ドラマは私たちの日常でも幾つも展開しているのだ
が、私たちがそれに気がつかないでいるだけなので
ある。
 
 ~続く~