不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク氏ご逝去に寄せて その②

 コロンボ刑事を脇役に配した単発作品
”Enough Rope”は殆ど話題にならなかった。
 原作者コンビのレビンソン&リンクは、この
作品を戯曲に書き改め舞台化することにした。
 タイトルは”Prescription: Murder 殺人処
方箋”とした。
 主役は、やはり犯人の医師で、コロンボ
ここでも脇役である。
 この作品は、意外と舞台化しやすかったも
のと思われる。
 劇の舞台は、犯人である医師の邸宅の居室
で、筋の大半はここで進行させる。
 場面が少なくて済むので舞台向きなのだ。
 まず、犯人と被害者である妻との修復不能
関係を示し、殺害に至る状況を知らせる。
 そして、その場で犯行が行われる。
 コロンボ刑事が登場し、捜査が進められる。 
 コロンボは舞台に出たり入ったりする。
 その間に、犯人の独白の場が設けられる。
 当初軽く見ていたコロンボが意外に腕利きであ
ることが徐々に判明し、焦る犯人の心理を独白
によって観衆に伝えられる。
 映画やドラマと違い、独白は舞台演劇の見ど
ころの一つである。
 おそらく、舞台告知のポスターには「妻を殺害し
た高名な医師、彼は逃げきることができるのであ
ろうか!?」とか描かれていたのでなかろうか?
 この舞台でコロンボ役を務めたのは、名優トー
マス・ミッチェルだった。
 二人目のコロンボ役者の登場である。
 ミッチェルは、脇役として多くの映画、テレビドラマ、
舞台に参加し、1940年には”駅馬車”でアカデミー
助演男優賞を受賞している。
 他には”スミス氏都へ行く””風と共に去りぬ
真昼の決闘””ポケット一杯の幸福”などがある。
 ミッチェルは身長160㎝と米国人としては小柄な
がら、押し出しの強い味わいのある演技をこなす
この時代を代表する脇役俳優だった。
 舞台は1962年1月に初演され、ミッチェルの主役
を食う名演で人気を博し、デトロイト、ファーゴ、ノー
スダコタ、カナダを回るツアーが行われた。
 だが、ミッチェルは、この年の12月17日に惜しく
も亡くなってしまった。
 舞台”殺人処方箋”は好評を博したが、再演され
ることも無かった。
 この作品は、実演を見た一部の観客の記憶には
残ったことであろうが、多くの人に知られるに至らな
かった。
 コロンボは今だ無名の脇役のまま、再び眠りに就
くことになった。
 ~続く~
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コロンボを演じたトーマス・ミッチェル
 
 
 司会者にインタビューされている男性がトーマス・ミッチェル。この番組の収録が1957年な
ので舞台上演時は、この時よりも5年経過している。
 舞台ではコロンボはミッチェルに合わせてか定年間近の初老の刑事として設定されていた。
 この番組は、画家のサルバトーレ・ダリや俳優のミッキー・ルーニーもゲスト出演している人
気番組だったようだ。