フロッピーディスクは淡々と読み取られてい
った。
久しぶりの音がする。
かつては、この音を毎日聞いていたのだ。
アナログとデジタルの中間のような音がする。
分満足していた。
ワープロ専用機は、将来にわたっていつまで
も存在するものだと思っていた。
それがいつの間にかワープロ専用機は姿を
消していった。
読み取りのフロッピーディスクドライブも市場か
らは消えつつある。
10年以上も経つと、機器の変化は予想もつか
ないものになっていく。
今使っているこのパソコンも十年もすれば、使
うのも困難な品になってしまうかもしれない。
ワープロ文書変換は、思っていた以上に簡単
であった。
専門業者に頼むまでもなかった。
だが、私がもう少し放ったらかしにしていたら、
フロッピーディスクドライブは手に入らなかっただ
ろう。
そうなっていたら、専門業者に頼むしかなかった。
滑り込みセーフであった。
変換された文書とは約十年ぶりの再会であった。
今読み返すと今以上に稚拙なものばかりである。
だが、当時はそれでも最善を尽くしていたのだ。
私はタイムマシンに乗ったような気がした。