放送されていたので聴いてみた。
私はブルックナーについては、今まであまり興
味が持てないでいた。
それらは一定の人気もある。
だが、私にはそれらの交響曲は、どうも今ひと
つの出来のものばかりだなぁ、と思えてしまう。
1曲のなかで同じ旋律を何度も繰り返す。
しかも、それらは編曲も同じなのである。
聞いていると「あ~、またやってるよぉ~」とい
う気になってくる。
ものが殆どだが、そりゃあんなに繰り返しばかり
していたら1時間を越えるよなぁ、と思えてくる。
あの繰り返しをカットすれば半分くらいの演奏時
間になるのではなかろうか。
加えて、私にとっては曲自体もそれほど素晴らし
いとも思えない。
時折耳を捉えるような旋律もあるとは思うのだが、
それもいつもの繰り返しで台無しになってしまう。
そして編曲もなんだかつまらない。
全体に薄っぺらく、ティッシュペーパーの束のよう
なサウンドになってしまっている。
何もオーケストラで演奏しなくても、というようなく
私は感じている。
さて、この日の番組ではオットー・クレンペラー指
揮、フィルハーモニア管弦楽団の盤が放送された。
クレンペラーといえば20世紀を代表する大指揮
者である。
だが、私はいつものように聞き流すつもりでいた。
大したことはあるまい。
演奏が進んでいく。
おや?なんだか良い演奏だな。
私はそう思い始めた。
う~ん、これがクレンペラーの力量というものなの
か。
つまらない曲でも見事に聴かせてしまうのだ。
私は約1時間、少しも退屈することなく聴き通すこ
とが出来た。
ブルックナーの曲でははじめてのことである。
さすが、クレンペラーである。
私はこの演奏により、ブルックナーを少し見直そう
かな、と思い始めている。