不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

班長慰労会に出席した。その⑱

 ?田さんは、自分の町内での子供時代の思
い出を話した後、唐突にこう言った。
「ところで、不二家さんはダムの建設にはど
ういう意見を持っていますか?」
 えぇ~、何だ?
 急に政治がらみの話を振ってくるとは、ど
ういうことだろう。
 宴会とは言え、こうした公共の場では政治
や宗教の話題を持ち出すのはタブーではない
のか。
 こうした話題は良い結論に至らないことが
多く、不要の不和の元である。
 それを会社を定年になったような人が持ち
出すとは。
 酒が入って機が緩んだのか、それとも元々
そういうことに頓着しない鈍い人なのか。
 私はどっちでも良いような答えをしようか
とも思ったが、この際私が普段考えている意
見を言ってみることにした。
 もうダムは要らないんじゃないですか?
 私は気の無い感じでそう言った。
 すると?田さんは一瞬間をおいて、ソフト
な口調ではあるが反論してきた。
 あぁ、面倒なことになるのかな。
 だが、?田さんは私に議論する気が無いこ
とを読み取ったのか、その話題はそれ以上先
に進めることは無かった。
 その後、ビールを一口飲むと、ビール瓶を
持って立ち上がり他の席にお酌に行った。
 とりあえず私は面倒から解放された気にな
った。
 ?田さんは嫌な人ではないと思うが、こう
いう場でそんなことを言う人がいるとは、意
外だった。
 これでゆっくり食事が出来る。
 私は次々に運ばれてくる食事をおいしく頂
いた。

 ~続く~