無形民俗文化財指定の横断幕。

　用事を済ませて、氏神様の前を通った。
　ここは、当地のお祭りの起点である。
　見るとその神社の石垣に大きな横断幕が飾
られている。
「祝指定　県無形民族文化財　○○祭」とあ
る。
　黄緑色のその横断幕に得意気にそう書かれ
ている。
　あ～、余程嬉しかったのだな。
　こんな幕まで作るとは。
　何か喜びを表現したくて横断幕を作ったの
だろう。
　個人ではこのようなものは作らないだろう。
　作るとしたら、会社か学校か。
　会社や学校は、一般にそれなりに開けた地
に立っているものであるが、この氏神様はそ
うでもない。
　この町内に住んでいるか、用事がある人し
か通らないような場所に建っている。
　それなりに車の通行もあるが、大したこと
はない。
　そんな場所に横断幕を張っても外向けのア
ピールにはならないだろう。
　となると、これは町内の人向けなのだろう
か？
　そんなこと横断幕にしなくても知っていま
す！
　でも、どうしても横断幕が作りたかったの
だろう。

　散り始めの桜の下で黄緑色の横断幕が道行
く人を眺めている。