不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

「和風総本家」で「かちかち山」を観た。

 先日のテレビ「和風総本家」では日本民話
の「かちかち山」がテーマだった。
「かちかち山」といえば日本人なら子供の頃
に一度は必ず聞いたことのあるお話である。
 今回の放送ではコンピューターグラフィッ
クでアニメを作りそれにクイズが挿入される
というものであった。
 私も「かちかち山」は保育園の頃に読んだ
か聞いたかしたが、それ以降は接していなか
ったのでそのストーリーははっきりとは思い
出せない状態だった。
 番組では可愛いCGでお話が進んでいったの
だが、そのお話の内容はなかなか残酷なもの
だった。
 民話や童話が実は残酷である、というのは
日本だけでなく西洋でも同様であることはよ
く知られている。
 その中でも、「かちかち山」は最も残酷な
部類に入るだろう。

 老夫婦が耕す畑を荒らすたぬきを老夫婦が
捕まえ、お爺さんはおばあさんにたぬき汁に
するように命じて出かける。
 お爺さんお留守中に、たぬきはおばあさん
に「もう悪さはしません。家事を手伝います」
と言って自由にしてもらう。
 だが、これは嘘でたぬきはおばあさんを撲
殺してしまう。
 そして、おばあさんの肉を鍋にして煮込ん
でしまう。
 それから、たぬきはおばあさんに化け、帰
宅したおじいさんに「たぬき汁です」とおば
あさんの肉の鍋を食べさせてしまう。
 たぬきは、嘆くおじいさんを嘲り笑い山に
帰っていった。

 うひゃ~、ここまでで十分残酷である。
 人を殺害後、遺族にその肉を食べさせると
は、極悪非道である。

 その話を、老夫婦と仲の良かったうさぎが
やって来て、おばあさんの敵討ちに立ち上が
る。
 うさぎは、たぬきを金儲けに誘う。
 当時燃料として利用されていた柴を集めて
売ろう、というものである。
 たぬきは、柴を沢山背負って歩いて行った。
 うさぎは、その柴に火打石で火をつけた。
「あれ?何の音だ」と言うたぬきにうさぎ
は、
「あれはかちかち山のかちかち鳥が鳴いてい
るんだよ」と教える。
 間もなく柴に火がつき、たぬきは大やけど
を負った。
 後日、大やけどのたぬきにうさぎは特効薬
と称してやけどにとうがらしの粉を塗った。
 たぬきは、再び激痛に苦しんだ。
 その数日後、うさぎはたぬきに海に漁に出
よう、と誘う。
 うさぎは木の船とそれよりも一回り大きい
泥の船を用意した。
 うさぎは、「大きい泥の船の方が魚が沢山
積める」とたぬきを騙したぬきを泥の船に乗
セ、自分は木の船に乗った。
 船が沖に出てしばらくすると、たぬきの泥
の船が少しずつ沈み始めた。
「助けてくれ」と懇願するたぬきにうさぎは
「おばあさんの仇だ」と沈み行くたぬきを魯
で殴って海に突き落とした。

 なかなか残酷な話である。

 現代でこのようなお話が新たに作られるだ
ろうか?
 これほど残酷だと、自主規制が働いてここ
までのお話しは作られないのではなかろうか?
 また、作ったとしても出版にまで至るであ
ろうか?

 これらの民話は新たに作られることの無い
質を持っている。
 強烈な残酷さを読者に提示し覚醒を促し、
その上で教訓を含んだストーリーを展開して
いる。
 とても貴重なものだと思う。