不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

オスカー・ピーターソンの逝去と死後昇格。

 ジャズピアノの巨人、オスカー・ピーターソンが、
12月23日カナダのトロント郊外のミシソーガで
腎不全のため亡くなった。享年82歳。

 報じられている訃報の中でピーターソンのことを
「鍵盤の皇帝」と呼ばれた、とあるが、私はピータ
ーソンがそんな形容をされていたとは、初めて聞い
た。
 私は、これは怪しい。
 どうせ、いつものようにマスメディアの誰かが大
物の逝去のドサクサに乗じて勝手なキャッチフレー
ズを付けたのだろうと推測した。

 新聞社や通信社の記者がキャッチフレーズを即席
にでっち上げて、その訃報を飾り立てて配信するの
である。
 こういうことはよくある。
 林家三平は、亡くなった途端「昭和の爆笑王」と
呼ばれるようになってしまった。
 生前には一度も呼ばれたことが無いキャッチフレ
ーズであっても、訃報と共に「~~と呼ばれた○○」
として報じられると、あっさりとそのキャッチフレー
ズがその後も定着してしまうのである。
 それらのキャッチフレーズは、記者連中が思いつ
きそうな軽薄なものばかりであり、故人の業績を正
確には表してはおらず決まって大袈裟なものばかり
である。
 私はこれを「死後昇格」と呼んでいる。

 私は早速「鍵盤の皇帝~ the emperor of the keyboard」
で検索してみた。
 世界中のどのサイトでもオスカー・ピーターソン
のことを、鍵盤の皇帝と呼んでいる記事は見当たら
なかった。  
 検索語にjazzを加えても同様だった。
 やっぱりオスカー・ピーターソンの場合にも死後
昇格が行われているのだ。
 これは、一種の偽造記事である。

 新聞社や通信社の記事を鵜呑みにしてはならない
のである。
 生前には使われていない形容詞を死後になって使
い出し、生前さもそのように呼ばれていたかのよう
に報じる。
 これは一種の捏造でり、事実の曲解である。
 彼らは自分達が報じるニュースが、如何にセンセ
ーショナルなものであるのかということにしか興味
が無いのである。

 オスカー・ピーターソンが、20世紀最大のジャ
ズピアニストの一人であったことには間違いは無い。
 あのビル・エヴァンスもピーターソンの大ファン
で、何とかピーターソンの影響から逃れようと必死
になっている過程であの独自の音楽を作り出してい
ったそうである。