私はその新顔さんに、そっけない態度をとっている。
そっけないと言っても、余所余所しいとか冷たいとかではない。
単に新顔さんのこれまでのキャリアには一切興味がないという姿勢を見せているというだけである。
だが、内心では、少しは気になる。
帰宅後、ネットで市会議員について調べてみる。
新顔さんのフルネームはまだ知らない。
ただ他の皆さんが「杉山さん」と読んでいることから、名字はわかった。
ちなみに、この杉山というのは当ブログ上での仮名である。
検索を開始する。
名字だけでもわかれば、すぐに探すことができるだろう。
議員だったら顔写真付きで載っていることだろう。
検索してみる。
あれ?
出て来ない。
どうしてだ?
あぁ、当市ではなく近隣の市かもしれないな。
再度検索する。
でも出て来ない。
どうしてだぁ?
私は考える。
ひょっとして、議員だったというのは政治家の議員ではなく、業界団体の評議会などの議員とかだったのか?
それだったらネットで調べても見つからない。
そして、次の集いの日にも、新顔さんと顔を合わせた。
やはり議員時代、議長時代の話をする。
ストレートな自慢話はしない。
「いやぁ~、あの時は困っちゃったよ」といったトラブルの話が多い。
しかし、結局はそれらは解決しているわけで、遠回りに自慢話である。
う~ん、聞いているのは、それなりに苦痛だなぁ。
私は、気の無い表情で聞いている。
新顔さんは(何故、この男は私の話に食いついてこないのだろう?)と思っているようだ。
ハハハ、私は世間様にたくさんおられるようなマトモな男ではないのだ。
そして、この日の集いも終わった。
さて、この人は一体何者なのだろう?
直接新顔さんに聞かなくとも、他の参加者に尋ねてみれば、すぐに親切にこの人のプロフィールを教えてくれることだろう。
しかし、それをやってしまうと、私が少しでも新顔さんに興味があると悟られる可能性がある。
それは避けたい。
私は冷めた表情で対することにしている。
兎に角、図に乗らせたくないのだ。
~続く~続く