不二家憩希のブログ

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班での通夜参列。その⑧

 通夜の式中「ご導師様に合わせて合掌」という場面が
何度かある。
 葬儀業者が務める司会者が、参列者にそう呼びかけ
るのだ。
 ご導師とは僧侶である。
 言い方を変えて何とか格式を作りたいのだろうが、僧
侶は僧侶である。
 何度目かの合掌の際、私はふと隣の席のKさんに目
がいった。
 (えぇ、金剛合掌!)
 Kさんも合掌している。
 だが、その合掌は普通の合掌ではなかった。
 金剛合掌なのだ。
 金剛合掌とは、真言宗で行われる合掌である。
 多宗派では行われない。
 K家は曹洞宗である。
 それなのに金剛合掌である。
 金剛合掌は密教の印の一種とも考えられている合掌
の仕方である。
 この合掌により神秘的な力が働くと教える者もいる。
 Kさんは仏教にはまり込んでいるようだ。
 本などで知った知識なのだろうか?
 それとも誰かに教わったのだろうか?
 私はK家の宗派を知っているので、異様な感じにしか
見えない。
 老境に、それも晩年になり自己流で宗教探求は危険
である。
 引き返すことは難しいし、やり直しも効かない。
 危ない行路だと思うが、私は家族、親族ではないの
で傍観するしかない。
 
 ~続く~