不二家憩希のブログ

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ワープロ・フロッピー復活作戦。その⑤

 私はそのうちフリーソフトワープロ専用機フ
ァイル変換ソフトが発表されるのでは、と思って
いた。
 だが、それは「そのうち」を通り過ぎ「いずれ」
に換わっていった。
 私はじっと待っていたのだが、そうはならなか
った。
 私の甘い見込みは外れたということになる。
 では、どうしてフリーのワープロ専用機ファイル
変換ソフトが出来なかったのか。
 私はパソコン関係には疎いが、理由を考えて
みる。
 ワープロ専用機という一時代前のコンピュータ
ソフトを現代のソフトに移しかえることぐらい、いと
も簡単なことだ、と思っていたのだが、どうやらそ
うでもないようだ。
 双方のソフトは仕組みがまるで異なっていて変
換には、かなり特殊な技術情報が必要とされる
のだ。
 それに加えてもうひとつあるのではないか?と
私は推測している。
 ワープロ専用機は富士通東芝、シャープ等10
社から発売されていた。
 それら各社がそれぞれ異なる方式でフロッピー
ディスクに記録していたそうだ。
 使われたフロッピーディスクは同じなので記録方
式も同じかと思えばそうではないのだ。
 このあたりは、カセットテープやビデオテープとは
大違いである。
 そして、同じ社の製品であっても100%の互換性
が保証されているわけではないようだ。
 ワープロ専用機は急速に普及したので、互換性
などを考慮した製品開発をしている余裕などなか
ったのかもしれない。
 ワープロ専用機はバラバラの孤島の集まりだった
のだ。
 それらバラバラの専用機のフロッピーディスクを変
換するソフトを作らなければならないとなると、これは
結構な作業となる。
 また各メーカーにワープロ専用機の記録方式等
情報を問い合わせても教えてくれるわけがなく、
自らで分析するしかない。
 そのため交換ソフトを作るには、それらのワープロ
専用機を入手し精査していく作業が必要となる。
 しかし、それらのワープロ専用機は既に製造を中
止されてしまっている。
 となると、一般市場から姿を消してしまっている
品をくまなく確保していかなければならない。
 中古品市場というものがないわけではないが、中
古品市場という世界は、必ずしも希望の品が手に入
るとは限らない。
 欠品が当たり前の世界なのである。
 こまめに品物に当たって集めていくしかない。
 最新を追い求める傾向が極めて強いコンピュータエ
ンジニアの人達が、旧式の機械を集めようという気に
まずならないと思われる。
 このような手間のかかることをしてまでフリーで出
してやろう、などという人が世の中にいるとは思えな
い。
 ワープロ専用機ファイル変換ソフト制作は、初めか
ら企業が製品化を目的としたプロジェクトとして企画
をスタートしなければ出来る話ではないと思われる。
 私も今でこそ、このように考えられるのだが、当時
は「どうしてフリーソフトで出ないのかなぁ?」と思っ
ていた。
 甘い期待とは、いかに人の思考を狭めてしまうか
ということがよくわかる。
 
 ~続く~