私がＮに会うのは久しぶりである。
Ｎはいつの間にこんなに太ってしまったのだ
ろう。
顔の大きさが横に倍になっている。
これでは街中で会っても気がつかないかも
しれない。
とうとうＮまで太ってしまったのか。
私の周囲の人間は、その多くが太ってきて
いる。
申し合わせたようにサイズアップしてきてい
る。
人は３０歳を超えると体の代謝機能が落ち
る。
そのため、それまでと同じような食生活をし
ていれば、いずれ太ることになる。
私の友人、知人のなかでもＮだけは太らな
いだろう、と私は思っていた。
農業で体を動かせば太るどころか痩せそう
なものだが、そう単純なことではないようであ
る。
どうしてそんなに太ったの？と尋ねるわけに
もいかない。
ひょっとして何らかのストレスで食べ過ぎ、
飲み過ぎに陥ったのだろうか？
私はかなり驚いていたのだが、何も気がつい
ていないような振りをしていた。
こういう時は鈍感な振りをしているのが一番
である。
敏感さは時に他者にとっては厄介なものとな
るからである。
私は物置小屋に行く前に、Ｎに頼みたい用事
があったのでそれをお願いした。
Ｎは快諾してくれた。
この用事の件については、後日また記そうと
思っている。
～続く～
