不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

お祭の準備と役を務めてきた。その③

 神社前まで運び出した山車の飾り付けに取り
掛かる。
 50㍍程離れた町内会の集会所にしまってあ
る飾りを運び出す。
 大太鼓や小太鼓やばちを持って行く。大太鼓
はともかく小太鼓は日常見かけるものではない
のでちょっと叩いてみたくなる。
 だが、ここで叩けば「おっ、興味があるの?」
とお祭に引きずり込まれてしまうことは目に見
えているので、じっと我慢する。
 時間が来たら太鼓だけ叩いて、すぐに退散で
きる、というのならともかくお祭には、それ以
外にも各種の拘束が発生するので私は出来るだ
け避けたいのである。
 木製の山車に、派手な色とデザインの布を巻
きつける。
 布で装飾性をもたらそうというのは、現代に
も通じる手法である。
 
「あ~、わからんことがあったら、マニュアル
を見てよぉ」と世話役の人が言った。普段、マ
ニュアルなどという言葉を使いそうもない人が
言うので少し笑えた。
 青年団の一人が、クリアファイルに綴じられ
たこのお祭のマニュアルを持ってきた。
 カラー写真入りで手順が記録してあるのだ。
これは、便利である。
 町内の役員の方で、マニュアルを作れ、とい
う指示で作られたのだろう。下手な解説図とか
だと見ていてイライラしてしまうこともあるが、
これが写真だとわかりやすい。
 マニュアルというと何かと否定的に捉えられ
ることが多かったりするが、伝統維持には有力
な手法だと思う。
 きっちりとデータで残しておけば後の世代の
人も引き継ぎやすいだろう。
 
 山車の上では電線を這わせて電球をぶら下げ
ている。今時珍しい裸電球である。この証明は
観客から見えるようにというものではなく、山
車に乗っている演者のためのものである。
 これが終われば山車の装飾もひと段落する。

 ~明日に続く~