蚊だ。
足を刺されている。
人が眠っているところを襲うとは卑怯な奴め。
成敗してくれる。
羽音が聞こえる。
品のない音だ。
人を小馬鹿にしているようにも聞こえる。
私は音を頼りに手で叩く。
何度も繰り返すが空振りのようだ。
起きて蚊取り線香を点けるか。
あぁ、面倒だなぁ。
私は普段就寝時は蚊への対策は何もしていない。
刺されれば、その場で圧殺しているからだ。
しかし、今回の蚊は動きが素早いのか、なかなか捕ま
らない。
そうしている間にも蚊の攻撃は止まない。
私は起き上がり、点火した蚊取り線香を持って戻って
きた。
これで、どうだ。
蚊取り線香を焚いた後は、蚊は寄ってこなくなった。
ようやく眠ることができる。
それから数時間後、またかゆみで目が覚めた。
また刺されている。
蚊取り線香が消えてしまったようだ。
羽音が聞こえる。
私は叩く。
やった、成功だ。
蚊取り線香により朦朧としていたのかもしれない。
今度こそ、ゆっくり眠ることができる。
ところがこの後、また別の蚊が来て刺してきた。
こちらの蚊は、すぐに圧殺できた。
すでに明け方近くになっている。
私は、そのまま眠った。
途切れ途切れの睡眠を強いる蚊め。
許さん。