不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク 刑事コロンボへの日々 その57

 ここまでピーター・フォークの歩みを見てきた。
 これらフォークの経歴には、いくつかの特徴に気
がつく。
 その一つ目は、”フォークは俳優人生において
下積みの経験がゼロである”ということである。
 ”刑事コロンボ”のイメージからすると、(あぁ、
この人は長年苦労してこの役にめぐり会ったんだ
ろうなぁ)と思われる方もおられると思う。
 フォークは、他の主役を張るトップ俳優のような
”ザ・エンターテインメント、ザ・芸能界”的なきらび
やかさを感じさせることが殆どないからである。
 これは、フォークが意図的にそうしているのか、
元々そういう人なのか。
 いずれにしても、芸能界の王道の中心を歩んで
きた人のようには見えない。
 これには異論もあるかもしれないが、少なくとも
私にはそう見える。
 だが、フォークは芸能界入りしてすぐに役がつい
ているのだ。
 演劇教室を出て芸能界入りを決意してニューヨー
クに移ると、すぐにオフ・ブロードウェイで役を貰っ
ている。
 それから、その後すぐにブロードウェイから声がか
かる。
 ほんの数週間前までアマチュアだった男に次々
と役の以来が来るのである。
 その翌年には、早くもテレビドラマデビューを果た
している。
 しかも、、役名のある普通の配役である。
 通行人Aとか、その他大勢・群衆の一人、といっ
た役ではないのである。
 後に大スターとなった俳優たちが、デビュー当時
は役がなかなかつかなかったということは、ざらにあ
る。 
 何とか役が貰えたとしても役名が無かったり、セ
リフが無かったりというこということも多い。
 ハリソン・フォードのように、ノン・クレジット(役名
表示無し)ということも珍しくない。
 それでも、役が貰えれば良い方である。
 芸能界入りしエージェントと契約をしたもの、何年
経ってもも役がつかない、という俳優が山のようにい
る世界である。
 フォークは、そういう中であっさりと役が任された
のである。
 これは、フォークが持たれている一般的なイメージ
からすると、かなりかけ離れているように思われる。
 私は下積み経験がないことを称賛するものではな
い。
 それは、むしろ後々マイナスに作用することすらあ
る。
 ちやほやされて当たり前の芸能界で、下積み経
がないもとは傲慢な芸能人を生み出す最も大きな要
因となりかねないからである。
 しかし、フォークはそうした人間にはならなかったよ
うだ。
 フォークが思わぬほど俳優として早々と活躍を始め
ることが出来たということは、知られざる事実といえる
だろう。
 
 ~続く~