不二家憩希のブログ

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ピーター・フォーク 刑事コロンボへの日々 その36

翌1968年2月20日ピーター・フォークにとって
決定的な作品が放送された。
 ”Prescription: Murder 殺人処方箋”である。
 この作品において、フォークは初めてコロンボ
部を演じた。
 フォーク以前にもコロンボを演じた俳優は二人
いる。
 初代は、当時41歳のバート・フリードで1960年
7月31日放送の”Enough Rope ”で演じている。
 フリードは、50年代からテレビドラマにおいて
事、ギャング、保安官といった役で活躍した俳優で、
その時代を知る米国人なら「あぁ知っている!」と
いう存在だそうだ。
 身長178㎝のがっちりとした普通の米国人という
感じの俳優である。
 ”Enough Rope”は、コロンボ・シリーズの原作者
コンビであるリンク&レビンソンの作で、富裕な医師
が愛人と共謀し妻を殺害し、それをコロンボが解明
する、というものである。
 このストーリーは、役名などが少し違うことを除けば
”Prescription: Murder 殺人処方箋”とほぼ同じで
ある。
 この時の放送は殆ど話題にもならず、関係者以外
には忘れられた作品となってしまった。
 続いてコロンボを演じたのは、名優トーマス・ミッチェ
ルである。
 この時は、テレビドラマではなく舞台演劇で1962年
に全米とカナダを廻る旅巡業だった。
 テレビの”Enough Rope ”に手を加え”Prescription:
 Murder 殺人処方箋”と改題し舞台にかけられたのだ。
 この時のミッチェルのコロンボの演技は各地で大変
な人気を呼び、コロンボ役の決定版と見なされるよう
になった。
 リンク&レビンソンも「もし、もう一度この作品が映像
化されることがるのなら、コロンボ役は是非ミッチェル
に演じてもらいたい」と考えていたそうだ。
 然しながら、ミッチェルはコロンボ演じてすぐの1962
年に亡くなってしまっている。
 ミッチェルはコロンボを演じた時、既に70歳だった。
 この時代の70歳である。
 かなりの高齢と言えるだろう。
 それに70歳で刑事とはありえない。
 しかし、ミッチェルの演技力はそれを逆手に取り、
”退職間近の粘り強い刑事”というキャラクターを作り
上げたのである。
 初代のフリードが実年齢41歳で、コロンボは普通の
中年刑事という設定だったところを大きく書き換えてし
まったということになる。
 そして、この68年の再度のテレビドラマ化の話が、
原作者コンビの元に持ち込まれた。
 コンビは、コロンボ役にビング・クロスビーを希望した
のだが、クロスビーに「役がかっこ悪過ぎて嫌だ」と
言われ断られてしまっている。
 確かに普通に考えれば、コロンボ役はかっこ悪い役
である。
 それでコロンボ役の第2候補として、コンビはリー・
J・コッブを提案した。
 コッブは、当人の意向とは関係なく、スケジュール
がどうしても合わず、この話も不調に終わった。
 それで仕方なく、次の候補としてあげられたのがフ
ォークだったのだ。
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 コロンボを演ずるバート・フリード。左の写真はニューヨ
ークにある放送資料館で公開されているものを撮影した
ものと思われる。
 当初のコロンボはこんな感じで、ありきたりの刑事役だ
った。
 
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 トーマス・ミッチェル。
 フォーク以前のコロンボ警部の決定版は、この人が作
り上げた。
 
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 有力候補だったリー・J・コッブ。
 コロンボ役を演じていたとしたら、こんな感じだったもの
と思われる。
 とても良い俳優だと思うのだが、コロンボ役としては、
少々男臭すぎるしかっこ良すぎると思う。
 
 ~続く~