幟立ての準備作業は進んでいく。
作業は当班と町内会の役員とで行われる。
まず、竿の木の棒を運び出す。
それを一旦寝かして幟を取り付けていく。
棒は地面に直には下ろさない。
一カ所に台をかませて浮かせてある。
棒に幟の横の輪を通していく。
この時、Nさんがこちらにやって来た。
Nさんは今回唯一の女性である。
そして、大きな声でこう言った。
「うちの班長さん、来てる?いないよね」
え?
何を言っているんだ?
そんなの見ればわかるではないか。
今年の班長のIさんは、欠席である。
Iさんが来ていないことを、皆にアピールして何にな
る。
こういう点がNさんはなんとも幼稚なのだ。
還暦をとっくに過ぎているのに、いまだに成長する
気配がない。
役員のFさんが少し呆れた口調でこう尋ねた。
「班長さんはどなた?」
こう言われてもNさんは気がつかないようだ。
Nさんを無視して作業は進む。
飾りつけと同時に固定用のロープを縛りつける。
それらが済むと、棒を起こして立てる。
ロープを引っ張ると棒は立ち上がっていく。
大して大きくない地味な幟だが、一応お祭りの幟
である。
それなりに、見応えはある。
ロープの端を杭や柱に縛りつけて作業は終了した。
約40分の作業だった。
それにしても寒かったなぁ。
後で調べると、気温は1.9℃だった。
うひゃぁ~、そりゃ寒いわけだ。