不二家憩希のブログ

はてなブログに引っ越してきました。

自転車に三人乗りのお母さんが行く。

 私は、街のメインストリートから3本ほど南に入っ
た通りを歩いていた。
 朝の9時半頃のことである。
 一台の自転車が私を追い抜いて行く。
 その自転車の後部には、保育園児らしい男の子が乗
っている。
 運転しているのは、若いお母さんだ。
 そのお母さんは、おんぶ紐でもう一人の子を自分の
胸の辺りで結わえている。
 自転車の三人乗りである。これは結構珍しい。
 少子化に抵抗してくれているそのお母さんは、見る
からにエネルギッシュな感じが、その自転車に乗った
後姿だけでも良く分かる。
 自転車は、四つ角を左にに曲がり、店の前に止まっ
た。
 そこが目的地だったのだろうか。
 お母さんは、男の子を抱え上げて自転車から降ろし
た。
 そして、身支度を簡単に確認した。
 すると、それからほんの数秒で、黄色い幼稚園の送
迎バスが、道をゆっくりと滑るようにお母さんと子供
の横に来て止まった。
 そうか、そこは幼稚園の送迎バスの乗り場なのか。 
 となると、今朝はぎりぎりセーフだったということ
になる。
 動物の絵が描かれたバスからは、保育士さんが降り
てきて男の子と挨拶をし、そしてバスに乗った。
 男の子が、座席に座ったのだろうか。
 お母さんは、右手を頭の上で大きく振った。
 行ってらっしゃい。

 バスがゆっくりと走り出した。
 お母さんは、バスの行方を眺めた後、再び自転車に
乗り、街中の方へ走り出した。

 今朝は小春日和で、天気も快晴だった。

 私は、こんな風景を見ていると、とても幸せな気分
になる。
 私は、目的地に向かい歩き出した。
 今日も、良い一日になりそうである。